音響パネルから得られる効果は、パネルの種類や利用する枚数や設置する場所などで得られる効果が変わります。得たい効果の項目を参考にして商品選択や配置の参考にしてください。音響パネルは単一の効果だけではなく複合的な効果が得られるのが特徴でもありますので、可能な限り多くのメリットを引き出せるように配置や量を調整してください。
①定位のばらつきを改善(左右の反射壁を同じにする)
パネルなし
パネルあり
一般的な部屋においては左右の壁の材質が違った状況や、スピーカーを部屋に対して非対称にセッティングするケースがあります。この場合音像が反射の影響で壁が堅い側に移動します。このような場合スピーカーの左右と背面に包み込むようにパネルを設置することで、パネルが壁のような役割を果たし音像の定位が左右に偏るのを改善します。
パネルA枚
パネルBと音響ポール
<パネル種類、枚数、設置場所のtips>
本目的で利用するパネルは可能な限り、反射性が強く、面積が広いほうが有利です。スピーカー背面と左右の壁が異なる場合は音響パネルAを4枚程度利用すると良いでしょう。弊社の音響パネルBと音響ポールを組み合わせて高さを1800mmにするとさらに高い効果を発揮します。パネルCを利用する場合は、羽は全て閉じて隙間から低域が漏れないように背面にベニヤを貼るなどをすると良いです。
②音の拡散 (音場が広がり包まれるような効果)
パネルなし
パネルあり
直方体の四角い部屋では壁の反射の影響をもろに受けて低域・高域は聞く場所により音圧が凸凹の状態になります。コンサートホールでも壁を斜めに設計したりするのは可能な限り音を拡散させ、全てのリスニングポジションで音圧差を可能な限り小さくする拡散音場に近づけるためです。リスニングルームにおいても音響パネルを斜めに設置し平行面なくすことで中高域は拡散されるようになり、凸凹が少なくなり音圧が均一になることで楽器の生のそれに近い印象になります。
<パネル種類、枚数、設置場所のtips>
壁や天井の一面にパネルを設置するので上級者向きになります。壁や天井に斜め板を設置することで有害音響がなくなるのはもちろん音場に開放感がうまれます。利用するパネルは反射性の強いものにするか、吸音性の強いものにするかは部屋の残響をライブにしたいかデッドにしたいかで決めます。利用するパネルは音響パネルBを組み合わせて利用すると便利でしょう。(写真は弊社の音響パネルは使っていませんが、参考までにイメージを掲載します)
パネルなし
パネルあり
③フラッターエコー退治(有害な残響退治)
パネルなし
パネルあり
フラッターエコーとは特定の帯域の残響が長く「ビリビリ、ジリジリ」鳴るような現象です。
前述したようにリスニング・ルームに家具がたくさんあったりするような 場合は起こりづらく、主に専用のリスニングルームで何も置いていない状況で発生します。②で述べたような壁一面、床一面に斜め板までしなくてもフラッターエコーは退治できます。スピーカー側面、背面、床に斜めに音響パネルを配置すればOKです。
<パネル種類、枚数、設置場所のtips>
パネルは反射性、吸音性のどちらでもOKですが吸音してしまったほうが簡単に退治できます。反射で退治する場合は音響パネルA、Bの場合はスピーカー背面と両面に斜めに配置することで退治できます。パネルはスピーカーに対して斜めに設置してください。パネルCを利用する場合はパネルの羽を閉じると斜めに羽がなりますのでこれでもフラッター対策になります。パネルCに吸音材をセットするとさらに強力なフラッターエコー対策になります。
④低域の量感アップ
パネルなし
パネルあり
スピーカー背面や、リスナーの背面にパネルを配置することで反射の影響により50Hzから200Hzの低域の量感が盛り上がります。低域の量感がアップし押出の強い低域になります。パネルとスピーカーの距離を近づければ近づけけるほど効果は大きくなりますが、5cm以下に近づけすぎると音の濁りとして感じられる場合もありますのでご注意ください。逆に50cm以上離すと反射による低域の量感アップの効果は少なくなります。リスナー背面にパネルを2枚程度配置するとさらに低域量感を盛り上げることができます。
パネルなし VS SP背面・側面パネルA枚
パネルなし VS SP背面・側面パネル4枚+リスナー背面パネル2枚
<パネル種類、枚数、設置場所のtips>
パネルは反射性のものをご利用ください。パネルAの場合はスピーカーの背面に4枚、Cパネルの場合は4枚の羽を閉じてご利用ください。さらに効果を得たい場合はセンター部分に配置してください。リスナーの背面にパネルを配置することも効果があります。スピーカーとリスナーの背面の空間が広い場合ほど、このパネル設置の効果は大きくでます。
⑤定在波対策(100Hz~200Hzのディップ対策)
設置例1
設置例2
100~200Hz帯域にでる定在波のディップを小さくできる可能性があります(定在波を全て解消できるわけではありません)。音響パネルAもしくはCを4枚スピーカー背面と側面に配置した場合に、定在波の反射モードが変わり大きなディップが小さなディップになることがこれまでの測定コンサルティングの経験でわかっています。どの配置にした時にディップ解消になるかはわかっていないため、個々のお部屋で測定を実施しトライ&エラーでどの位置にパネルをセッティングするかを決める必要があります。
<パネル種類、枚数、設置場所のtips>
これまでの経験上パネルA、パネルCが4枚あれば100~200Hzの定在波のモードに影響をおよぼすことができます。パネルは反射性の強いものが必要です。吸音で対策できそうですが、100~200Hzはほとんど吸音しません。モードを変えるために反射させる必要があります。
⑥残響時間を短くする(デッド化)
パネルなし
パネルあり
音響パネルCにオプションの吸音材をセットすることで、全帯域の残響特性を羽の開き具体で調整できる吸音音響パネルとしてご利用いただけます。スピーカーの背面に4セットほどセッティングすることで低域の残響時間を短くする(=デッドにする)ことができます。パネルを軽く閉じると「低域だけ」の残響時間を短くできます。パネルを開くと「全帯域」の残響時間を短くします。パネルの開き具合で帯域を微調整できます。低域の残響が収まらないブーミーなリスニングルームなどに最適です。
パネルなし
パネルあり
<パネル種類、枚数、設置場所のtips>
「反射」と「吸音」の両方が可能な音響パネルCをご利用ください。パネルCは標準セットで利用すると反射パネルですが、オプションの吸音材を背面に配置することで吸音パネルになります。残響を短くするには最低4枚必要です。効果が感じられない場合は数を増やしてください。
⑦響きを美しくする
部屋というのを一つの器と考えると、その器に使われている素材の響きというものは音に大きな影響を与えます。木造の家には木造の響きが、鉄筋コンクリートには鉄筋コンクリートの響きが、石造りの家には石の響きがします。部屋の中に置くアイテムも同様に音の一部となります。天然の集成材で作られた音響パネルをスピーカー周りに囲むことで、それは確実に部屋の音の一部になり音色全体に影響します。
また音響パネルに刻まれた細かいリブが高域を乱反射させ、音響パネルCは羽をランダムに向きを変えることで音を乱反射させます。あたかも広い森林の中で感じられるような心地よい音の乱反射があなたのリスニングルームを優しく包みます。
⑧その他の効果
その他弊社のオーディオパネルを部屋に配置して
以下のような効果報告をお客様からいただきました。
●低音の抜けがよくなった上、量感がアップした。
●6畳間という狭いリスニングルームにもかかわらず音場感が広がり10畳間ぐらいで聞いている感触になる。
●アンプやネットワークを変更したときに音の違いが明瞭にわかるようになった。
●オーケストラの楽器の定位感・分離感が改善した。特に奥の楽器の位置関係がわかるようになった。
●低域の質と量感が改善。全帯域の密度感が向上した。
●音がスピーカーから出ている感じが消え、音に包まれているような出方になった。
●6枚のパネルの角度調整をおこなったところ、楽器の分離感が圧倒的に高く感じられるようになった。
●音量を上げた時の低域の飽和している感触が薄れてより音量を上げられるようになった。