空気録音の際はZ601-Modenaの箱にZ-Sienaを入れて録音しました。Z601-ModenaにZ-Sienaを入れて聞くと若干ミッドが分厚いかなという印象がありましたが、まあまあ綺麗に鳴っている印象がありました。少しだけ箱を大きくしてダクトチューニングをして低域拡張・中域を少しスリムに、高域の吸音処理をより完璧にというところが最初に気づいたところでした。
キット・完成品ともにもう一回り大きいサイズで考えていますが、実際どうなるかは既存箱に入れてのテストと試作箱を作って試聴と改善を繰り返して決めてゆきます。今回まずはバスレフボックスの容積を変えての試聴&測定テストをします。次は弊社にある既存のBHBSに入れて音道の長さや容積がどのあたりがマッチしそうかをテストしたいと思います。
■3.7Lバスレフ箱
最も小型の3.7Lバスレフ箱でテストしました。 当たり前ですが、Z601-Modena(Z-Siena装着)と比較すると低域が大きく落ちます。この2つを聞き比べたら「100人中99人はZ601が良い」と言っていただけると思います(笑)
無響室で10センチマイクをセットした周波数特性とインピーダンス特性です。点線は基準であるZ601-Modena(Z-Siena装着)です。実線が3.7Lバスレフです。
ユニット供給先のホームページをみるとこちらのユニットでは、1つのバスレフと2つのバックロードホーンが掲載されています。バスレフでは3Lの容積が指定されていますのでこちらが最も近い容積になっています。サブウーファーがないと低域がある音源は厳しい印象です。
■4Lバスレフ箱(Z600-Cannonball100)
さすがに低域はでませんが、これは良いですね!フルレンジ1発の高域だけ選手権でしたら間違いなくトップレベルのシステムでしょう。
点音源になるとバフルからの中域反射が減るからでしょうか?3.7Lのスピーカーより気持ちはい上がりになった印象です。シングルバスレフのダクトも偶然マッチしていたからか、低域量感も3.7Lの箱に比べて上でした。低域が盛大に入っている音源ではサブウーファー前提になりますが、普通のバスレフ用のユニットですのでこれでも十分商品になりそうです。
点線は基準であるZ601-Modena(Z-Siena装着)です。
実線がZ600-Cannonball100にいれたZ-Siena
です。高域の周波数特性を見ていただくと、
他の箱に比べて圧倒的に高域特性がフラットです。ここまでフラットな特性はなかなか見たことがありませんが、これがバフル反射のない点音源ボックスの特徴ですね。※低域はZ601よりのびているように思えますが、これはダクトが背面にあるという理由だけなので比較は正しくありません。
他の容積の箱はすべて四角い普通のバスレフ箱でマイク10センチなのですが、キャノンボール100の高域特性だけは凸凹
がなくとてもフラットです。是非他の箱の1KHzから5KHzの特性と比較してみてください(周波数特性画像はクリックすると拡大します。)
バフル反射の実験は過去にしたことがありますが、ここまで違うとは思いませんでした。多分10センチ口径のユニットで比較しても同じようになると思います。今度
Z600-Cannonball100のホームページにこちらの比較を掲載したいと思います。直接関係ない商品の開発中に、自社商品のとても大きなセールスポイント発見してしまいました(笑)
■7Lバスレフ箱
3.7Lに比べると低域が一気に多くでます。
このくらい小型のサイズですと僅かに容積が増えただけで変化がすぐに分かります。
個人的にはシングルバスレフでいくのであれば最低このくらいの容積があっても良いかなという気はします。点線は基準であるZ601-Modena(Z-Siena装着)です。
実線が7Lバスレフ箱にいれたZ-Sienaです。4Lに比べると大きく低域がのびているのがわかりますが、Z601の方が少し容積が大きいですがさほど変わらないこと考えるとZ601の低域の伸びの凄さがわかります。
こちらのユニットは結構ミッドが分厚いのも特徴なので小編成のクラシックなんか相性が良いように感じました。
■10Lバスレフ箱
通常10センチ用に使う10Lの箱にも入れてみました。こちらちょっと大きすぎかなと思いきや、これでもバスレフのロードがかからないということはなくしっかり低域が伸びています。
点線は基準であるZ601-Modena(Z-Siena装着)です。
実線が10Lバスレフ箱にいれたZ-Sienaです。
10Lの容積にしてはじめてZ601箱とほぼ同等の低域特性となっていますね。測定上の比較を3.5L、7L、10Lとだしますが低音だけで言えば10Lが最も伸びています。ただ聴感上良かったかというと必ずしもそうではなく、全体のバランス感から言えばZ600-Cannon100が最も良かったです。
ハイ上がりのオーバーダンピングユニットの場合は低域量感を全体的に多くとってバランスをとりますが、今回のユニットは、低音を伸ばしすぎても全体的なバランスは良くならないということが分かりました。今回4つのバスレフの容積違いの箱を確認しました。バスレフでも普通に鳴ってくれる素晴らしいユニットですが、メーカー推奨箱にもバックロードがあるように低域にロードをかけたときに本領発揮するような印象を受けます。しかしこれまでのオーバーダンピングユニットとは少々違うチューニングが必要になりそうです。次回は弊社にあるBHBS箱に入れてテストをしてみます。