ハイエンドの「音」を追求するスピーカー専門工房

　長岡鉄男先生のスーパースワン、D10バッキーの鳴りっぷりの良さをリファインしたスピーカーを目標に開発をいたしました。弊社の15年にわたるL-BHBS箱の技術を使い、超低域まで再生しながら中域のパイプ音が一切気にならないバックロードホーンエンクロージャーが完成しました。2025年5月31日までの限定販売になります。

　年に２つほどフルレンジシステムの新作を出そうと決めましたが、2025年1発目の商品がこちらになります。当初はFE103Nvを使いFE108Solレベルの高域に、スーパスワンを超える低域の箱を作ろうと思って開発をスタートしました。

　後に書きますが ユニットの素性確認のときに様々なFOSTEX の小口径ユニットをテストしまして、 FE103NV→FF105WK→FF125WKと利用予定のユニットを2回変更しました。そのため内容を何度も書き換えており、 とても時間がかかりましたがとても良いものができたと思っております。

　 これまで弊社のスピーカーキットはFOSTEXの製品はFEがすべてでFFは初になります。12センチという口径でのBHBSも初かと思います。多分私の音の趣味が変わったのも大きいのかもしれませんが、FFはFEに比べて高域にトゲがなくローエンドを伸ばしやすい音で、最終的にこちらに決めました。紆余曲折を経てFF125WKを採用に至りましたが、その過程も書いてゆこうと思います。

■音の目標（コンセプト）
　長岡鉄男先生のD10バッキーというスピーカーがあります。構造はスワンに近く、同一の長さの直管を180度の折り返しでホーンを構成しているスピーカーです。 とても鳴りっぷりが良い大好きなスピーカーでした。スワンのよう低域はありませんが中域のスピード感と鳴りっぷりが素晴らしいスピーカーでした。

　開業当初にはこちらの83NV版をだしたのですが、BHBSを知る前の設計で今考えると 中域の膨らみのある従来バックロードの音でした。今の音のレベルを考えると少々申し訳ない思いです。あれから15年たちローエンドを伸ばしながらも中域量感のバランスを調整することに命を掛けてきました（大げさですが）。

　今回、長岡先生のスワンやD10バッキーの音をこれまでやってきたBHBSの技術と新しい組み合わせ、圧倒的にクオリティーを上げたスピーカーとして再構築したいと思います。メインでやっている音道が短いBHBSに比べると、低域のスピード感や切れ感よりゆったりした感じの鳴りになりますがローエンドを伸ばすことができる形式でもあります。

　また、FF125WKはオーバーダンピングではないのでマグネットで強化するチューニングをしたりしてみようと思います。今回製作予定のBHBSは自分のなかで あるレギュレーションがございまして、そのレギュレーションに沿って箱作りをします。そのレギュレーションとは、

●スワンを超えるローエンドに調整されたミッド帯域、鳴りっぷりの良さを目指す

●長さ2ｍ程度の音道が長めのBHBS

●D101S、D10タイプの箱にする

●コスパ重視でペア4万程度のL-BHBSを作る

　音をだしてみてうまくゆかなければ上の項目は訂正をしますが、基本は長岡先生のスワンやD10バッキーのような鳴りっぷりの良い低域。それにスーパーツィーターをあわせてハイエンド並の高域を目指します。中域のパイプ共鳴音や膨らみを抑えながらローエンドを伸ばすBHBS方式にします。スワンスピーカやD10バッキーの現代版をローコストで実現するというイメージでございます。 高域はトゲがなく綺麗な高域ですが、普通のマルチウエイに比べたら少しだけはいあがりという形が理想です。

■昔のバックロードの音をどうリファインするか

　D101SスワンやD10の低域は荒削りなところはありますがあの低域の迫力には麻薬のような魅力があり、一部の人（安達）はハマり中毒状態になりました。一部の人からは「中域がボーボーでラジカセより酷い」、「聞くに耐えない」という批判の声もありました。今回私が目指すスピーカーは良い部分をグレードアップさせ、批判的な部分を完膚なきまでに叩き潰した完璧なシステムを作りあげることです。

　BHBSとはそういうことを可能にする箱なわけですが、音道の長さが短いものはダブルバスレフの要素が強く、長くなるほどバックロードホーン要素が強くなります。音道が長いBHBSはFOSTEXのスピーカーハイアガリ系のユニットに多く採用してきましたが、、音道が短いスピーカーダブルバスレフ的なものと違って計算通りにいきません。 ほとんどが勘と経験、実際に試聴してみて、 音を確認しながら改善するしかない箱でもあります。なので手探りで作ることになるのですが、以前に作って研究したことのある今日はスワンとD10というスピーカーの内部構造を知らない人のほうが多いと思いますから、こちらの構造をまずはおさらいしたいと思います。次回からユニットの素性確認にはいり、試作にかかります。

■スワンの構造とD10の構造の共通点

　スワンは一度作ると内部の構造はさほど複雑には感じないと思いますが、作ったことがない人が写真だけ見ると少しわかりにくいかもしれません。一方のD10は非常にシンプルです。下の写真が横からみた写真ですが、音道がだんだんと広がりながら同じ長さで折り返しが続く構造となっています。

　実はスワンの内部構造は最初のスロート部分は除いては、D10のように直管を180度折り曲げる構造が共通しています。長岡先生のバックロードホーンは事業を始める前にいろいろ作って勉強しましたが、 バックロードホーンの構造を大きく3つに分けると、次のようになります。

（1）スワン、D10方式
（2）D37、D55方式
（3）スパイラルホーン方式
↓が3つのSPの内部のイラストです。

これら３つの箱にはそれぞれ特徴がありますが、私の印象では（1）と（3）が対極的な音でその中間にあるのが（2）という感じがします。

各音道を分解して考えてみると、
（1）はほぼ同じ長さの直管が180度ずつ折返しています。

（2）は長さが少し違う直管が90度、180度で折り返しています。

（3）は長さが大きく違う直管が90度ずつ折返しています。

　具体的にいいますと（1）は低域から中低域までを力強く盛大に伸ばし、音の迫力があります。その反面癖が出やすいとも言えます。対極的なスパイラルホーン（3）というのはホーンとしての迫力という感じは少なく癖のない自然な音、ローエンドがよく伸びている音です。

　迫力さと鮮烈さが（1）の特徴ですが、この構造にBHBSダクトをつけて作ったことは何回かあります。うまくゆかかどうか、試してみないとさっぱりわかりませんので、もしかしたら販売時は別の形になっている可能性も普通にあります（笑）まずは手始めにD10と同じサイズの箱と、もう一回り多き箱の２つを作って内部調整、ダクト調整を行おうと思います。次回はその前にユニットの素性確認、F特確認TSパラメーター確認を行います。

　 今日はユニットの素性確認ということで、利用予定ユニットの新旧比較や口径違いとの比較を聴感ベースでお話してゆきます。普通の7Lのバスレフ箱にいれて利用候補のユニットの音楽を聞きながら確認します。当初利用するユニットはFE103NVが筆頭候補でしたが、今日の実験を経てFF105WK に変更し、最終的にはFF125WKにしました。 実はこの時に実施したユニットの素性確認の時点ではFF125WKは候補に上がっておらずFE103NVにするか、F105WKにしようと思っておりました。

■6Lのバスレフ箱における高域素性確認

●FE103Nv2とFE108solと比較

●FE103Nv2とZ702-Modena比較

　先日販売終了になりましたZ702-Modenaは同じフルレンジシステムです。
　はい上がりのFE系を単純なバスレフ箱に入れたもので傾向が全く異なります。ですので単純比較はできませんが、
、、あえて申しますと現時点ではZ702-Modenaのローエンドの伸びから中高域の丸さなど、Z702-Modenaの圧勝です。こういう比較をするとしみじみ箱の重要性というものを感じます。 この比較をしてしまうとFEの高域の癖が気になってしまいどのように料理するか迷うところです。

●FE103Nv2　と　FE103En比較

　同じFE103系での1世代前との違いの比較です。10年以上前のユニットのため、片方の振動板にはシミが多くでてしまっています。基本の音色は同じですが、女性ボーカルの耳につく高域の尖った部分は新型のFE103NVのほうが抑えられていて聞きやすいです。じゃじゃ馬的な前作に比べて、大人しく聞きやすい音色になっています。FEシリーズの最大の特徴である音像が前に浮き出てくる音の出方は同じです。

●FE103Nv2　と　FE108EΣ比較

　現在販売終了になってしまっているようですが、長くレギュラーのオーバーダンプユニットとして販売されていたEΣとの比較です。FE108Solと同じくマグネットが強力なため音のメリハリディテールの制動感は実に良いのですが高域に尖りが少々あります。バスレフ箱ですので低域不足は承知の上です。FE108EΣと振動板形状が同じFE108SSHPも近い高域でした。BHBSやバックロードの箱にいれれば低域はよくなりますが、この高域部分だけは苦戦したのを思いだしました。

●FE103NV2　と　FE83NV比較

　同一シリーズの10センチ口径と8センチ口径の比較です。サブバフルに入れて比較しました。こちらは昔から散々聞いてきましたが、8センチのほうがナローレンジのためこの程度のバスレフ箱に入れて聞くとシステムとして完成している感じです。10センチのFEのほうは低域をふかしてやらないと少し煩いです。高域だけで比較しますと83のほうが尖ったところが少なく箱との相性も良いので上に思いますが、103のほうがワイドレンジで細かい音の表現もうまいので箱次第で83を上回るシステムを作れると思います。この箱次第で化ける可能性を感じるのが103の魅力ですね。

●FE103NV2　と　FF105WKの比較

　FEシリーズとFFシリーズの同一口径の比較です。この２つのユニットは一般的にはFEはバックロードとバスレフに使え、FFはバスレフオンリーのような説明が昔の取説にはありました。音色は全く違いますが、今回の比較では昔に比較した時と印象が少し違っていました。

　前方に浮き出る独特な音像はFEのほうが上ですが、高域の聴きやすさや低域の量感はFFのほうが上でこれは以前と同じです。昔のFFは低域の反応が少し鈍く高域がシャリシャリしていた印象がありましたがWKになってそのへんが改善している印象がありました。FEほどではないにせよ前に浮き出る音像ももちつつ、FEの最大の弱点である耳に突き刺さるところがないのです。FE103NVを散々聞いてきて、悪くはないのですが耳につく部分が圧倒的に少ない FF105WKを採用したいという気持ちに傾いてきました。

　しかし、FE103に比べて、 FF105WKのほうが価格が高かった記憶があったため、コスパ重視をかかげている今回の商品としてはどうかな？と 思いFOSTEXのホームページを見てみるとなんと同じ価格ではありませんか！音が良かったのもありますし、初チャレンジもしてみたいということで、今回はFF105WKを採用もありかな？と思いはじめました。

　測定を終えて箱に入れてから決めたいと思います。どこまで攻略できるかわかりませんが、 お楽しみに！

今日は候補にあがりましたFE103NVとFF105WKを中心にユニットの周波数特性、インピーダンス特性、TSパラメー ターを測定し初回に作る箱の予想をたててみたいと思います。

測定するユニットは
●FF105WK
●FE103NV
●FE108Solの3つになります。

これまで使ってきたオーバーダンピングユニットで馴染のあるFE108Sol。そしてFE103NVとFF105WKの特性をまずは頭に入れておく必要があります。弊社にある簡易無響室にある小型のJIS箱フルレンジスピーカーをいれて周波数特性測定とインピーダンス測定をまずは実施しました。マイクとユニットの距離は約10センチです。

●FF105WKの周波数特性とインピーダンス特性

　単体の測定データが↑です。8KHzあたりに大きなピークがありますが、スーパーツィーター帯域なのでほとんど耳で気になる帯域ではありません。高域はフラットですが、意外と超高域は伸びていないのでSTは効果がわかりやすいかと思いました。

●FE103NVの周波数特性とインピーダンス特性

FF105WK単体ですと違いがわからないので 他のユニットとの比較をだしてみます。
実線がFF105WKで比較対象のFE103NVが点線となります。

インピーダンスの山がF0になりますが、 こちらはほぼ同じになります。低域は振動板の重いFFシリーズのほうが良くでていて、高域は意外と近いですね。何故FEのほうが高域に刺さる部分があるかですが、4～6KHzあたりのピークが原因でしょうか？。以前はFEのほうが遥かにはい上がりだった気がしますがここはFEのスペックが変わった部分かと思いました。

●FF108SolのTSパラメーター特性

FE108SolとFF105WKを比較してみます。 実線がFF105WKで比較対象のFE108solが点線となります。

F0はFE108Solのほうが低いようで、 インピーダンスの山の位置が大きく違いますね。低域は近い感じでしょうか？
高域に関しましてはFE108Solが明らかに 右肩上りのはい上がり傾向がはっきりしています。FE108Solは確かにはい上がりの高域ですが耳につく煩さを感じにくいのがすごいところですね。

■TSパラメーター測定
こちらはDATSV3を使っての簡易測定です。

　振動板の重さを図るM0は右上の写真のように振動板に10グラムの重りをのせてVASを測定してからだします。こちらの測定機はこれまで遊びでしか使ってこなかったのですが、今回は背面にマグネットを追加した時のQtsの値がどのようになるかを知るために測定しました。

　マグネットを追加してやることで、オーバーダンピング化しFE108Solのような低域に近づけるのが目的です。以前にZ-Bergamoを作った時のノウハウを使います。ためしに、弊社にあるマグネットをFF105WKにつけて測定してみました。

　マグネットは2パターンの付け方がありますが付ける前と後で数値がどう変わったかというとQtsの数値が0.5も落ちました！もちろん音は確認しないといけないのですが、、この測定機があればマグネットの厚みを何パターンか用意して最もコスパが良いものを使うこととかもご提案できそうです。

得られたデータを1枚の写真にまとめたのが↓ になります。

　FOSTEXのホームページとスペックの比較もしてみました。もちろん微妙な数値は違いがありますが３つのユニットの相対的な数値は近いところをだせている感じです。（なぜかF0だけは違いますね。）こちらは試しの実験はとりあえずOKということで、秘密兵器として後に登場することになるかと思います。

■初回に作る試作箱の予想
　前回のユニット素性確認と今回のユニット調査から、まずはD10バッキーの高さ600奥行き400前後の箱を２つまずは作ります。現時点ではユニットはFF105WKを採用の気持ちが7割、FE103NVが3割くらいでした。そのため、FFで綺麗になってくれる箱にするべきですが念の為の抑えでFEでもなる箱にします。そうなると大は小を兼ねるで最初は大きい箱をつくることになります。サイズが大きすぎた場合は試作箱をどんどん小さくしてゆきます。

　FEより振動板の重いFFシリーズですので、音道パターンはこれまでやっている短いパターンでも十分なるのが予想できますが、私的には今回は結構長めの音道で大きな箱でできるだけローエンドを伸ばし、長岡式の鳴りっぷりの良さは残した箱にしたいのです。

　FF105WKの一番のメリットは高域にトゲがなく、それでいてFEのような音像が表現できていることです。しかし低域はFE108Solのような制動力はありませんのでここは箱とマグネット追加などを組み合わせてスワンやD10のような勢いを持たせようと思います。

　ユニットの素性と簡易的な音出しから箱を２つ作ってみました。容積は木材の木取りから能率的に取れる大きいサイズと小さいサイズです。

　Φ100のテーパー付きダクトを使うのを想定して、横幅はD10より20mm大きい170mmで設計しました。1つは長岡鉄男先生のD10バッキーより少し大きめ。もう一つはD10バッキーより小さめの箱です。音道構造は10に似ていますがカスタマイズしています。内部の音道を変化させることができるように、毎度おなじみのクランプで音道をあとあと変化させることができるボックスです。

　さらに、BHBSのダクトの長さが異なるものを準備します。箱の音にとって一番大きな影響のあるのは容積とダクトですので、まずはこちらをいろいろ変えてみながら大まかな方向性を決めてゆきます。FF105WKを小さい箱に入れて一番最初にでてきた音の印象を言いますと、容積がとても大きい上音道が長いBHBSということでローエンドがとても伸びております。

　短い音道に比べるとゆったりなる感じでクラシックとかとの相性が良いように感じました。ホテル・カリフォルニアの空気感もしっかり伝わってきており40Hzは余裕でクリヤしている感じです。音道の短いZ702-BergamoやZ701-Sienaに比べると長岡式に近い音でありますが、ここは昔のスワンやD10の鳴りっぷりの良さ鮮烈さは残すという方針ですので、これで良いかと。 バランスが良く聞きやすい音ではありますが、隣にFEを入れて聞くと少しダンピングが甘い感じで、気持ち中域の癖も感じられます。高域はトゲがなく綺麗です。

　後に他のユニットを入れた時のレビューで書きますが、FEであればこのくらいの容積でチューニングするとローエンドをガッツリ伸ばし、中域のバランスがぴったりはまりそうですがFFですと少しロード感が弱い感じがしました。FFをベースに作るには箱のサイズがやはり少し大きすぎた印象があり少しデザイン的なバランスを考えても高さを500ｍｍくらいにして、再度設計しようと思いました。また、BHBSのダクトの長さを30mmから200mmのものを試しましたが、今回は昔の長岡式のテイストも少し出すチューニングにしたいと思いダクトの開口をさらに拡大したいと思います。しかし、丸型のテーパー付きだとこのサイズがマックスなので昔の木材だけでホーンの開口を作る方式にしたいと思います。

　そうすれば、横幅と高さ方向を小さくした設計が可能になるからです。コスパ的にもΦ100のテーパー付きダクトは結構高いので木材で作る四角い開口を採用しようと思います。

■採用ユニットをFF105WKからFF125WKに変更
採用を検討していたFF105WK以外のユニットも実験的に試作箱に入れて聞いてみました。ここで事件がおきまして利用するユニットをFF125WKに変える決断をします。テストしたユニットは↓です。

FE108Sol
FE126NV
FF85Nv
FF125WK

　ユニットの素性確認を兼ねているのと商品完成後の使いこなしで他のユニットを入れた時の質問が毎回くるのでこれを知っておきたいと思ったのです。108Solはオーバーダンピングユニットですので、ユニットに追加マグネットをつけた時の参考になるかと思いましたので。

●FE108Sol

　大きいスピーカーにFE108Sol、もう一方の小さいスピーカーにFF105WKを入れて比較しました。さすがFE108Solの低域は試作した箱と相性も良くFF105WKを圧倒します。 高域については好みで別れる感じです。 はい上がりで鮮烈、多少煩くても高域が多いのが好きな人とはFE108Sol、フラット系でしたらFF105WKになります。低域部分はマグネット追加でいくらなんでもFF105WKが108Solと同じ低域レベルにするのは不可能な気がしますがこちらを低域のリファレンスとして比較して近づけたいと思います。

ちなみにZ1000-FE108SolやZ700-FE108Solは完売してしまったので比較できませんが、
記憶をたどりますと低域の印象はZ1000と違い、迫力というか押し出しの強さがある音です。

●FE126Nv

●FE83Nv

　一つのスピーカーにFF105Wk、もう一方の小さいスピーカーにFE83NVを入れて比較しました。こちらは、箱とあっていなくNGですね。 腑抜けた感じの低域でもっと小さい箱にしないと低域がだめですね。FOSTEXの代替ユニットで良いのはFE108Solですが、 こちらは価格が高いので最後にダメもとで試したのがFF125WKでした。

●FF125WK

　大きいスピーカーにFF125WK、もう一方の小さいスピーカーにFF105WKを入れて比較しました。 テストした時点ではFF105WKを採用しようと思っていたのですが、大きい試作箱に入れたFF125WKのローエンドがとてつもなく良く伸びていました。もしかしたら採用をほぼ決めていたFF105WKにするより、FF125WKにしたほうが良いの ではないか？そんな気持ちになりました。

　コストアップになりますが、もしかしたらZ1000-FE108Solレベルのローエンドに簡単に近づけるのがFF125WKではないか？しかし、大幅なコストアップになってしまっては元も子もありません。 ということで、FOSTEXのホームページでFF105WKとFF125WKの価格の違いを調べてみたらなんと1000円（ペアで2000円）しか違いません！現時点ですでにスワンやD10のローエンド再生は余裕で超えており、35Hzあたりまででている感じがします。

　スワンやD10のような鮮烈な音というのが当初の目標で、12センチは少し傾向が違いますが低域はZ1000-FE108Solと遜色ないレベルででています。確かに厳密な聞き方をすると10センチのFF105WKのほうが良い部分はありますが、 遜色ありません。最近はバランス重視でそこまでローエンドを伸ばすというマニアックなことはやっていませんが、今回は自作キットだし ローエンド追求でいってみようかという気持ち傾きました。

　ということで今回ユニットはFF125WKでいくことにしました！！

こちらはユニットのデータをとっていなかったので次回紹介し、新たな箱を作ってチューニングしてゆきます。今回はユニットの選定に半分くらい かかってしまいました！Z703-FF125WKの 箱作りに移ります。

　当初採用予定だったFE103NVからFF105WK、最終的にはFF125WKに採用ユニットが変更しましたがFF125WKは測定データーとっていなかったので、取り直しました。簡易無響室、JIS箱、マイク距離10センチです。

比較で見るとわかりやすいと思いますので、 実線はFF125WK、点線を105WKになります。

口径が違いますから当然ですが、低域は 全体的に2ｄBほど高い感じで高域はさほど変わらないですね。聴感では高域はかなり違いますが・・。

参考までに、FF125WKとFE108solを比較してみます。低域はFE108SolよりFF125WKのほうが低域音圧は若干高い感じです。

TSパラメーターも比較してみます。こちらFF105WKとFE108Sol、そしてFF125WKの3つを比較してみます。

　低域の出方を示すQtsはFE108Solが一番低く0.37、 FF105WKは0.51、FF125WKは0.48になります。右上の写真をクリックすると大きく表示されます。口径違いなのでQtsを比較してもあまり意味がないかもしれませんが、125Wkに追加マグネットをつければ数値だけでしたら108solくらいはできなくなさそうです。

■箱について
ユニットが本決定したところで、最初に試作した大きい箱と小さい箱にFF125WKを入れて音を確認しました
（1作目、2作目）

　音は小さい箱でもしっかりローエンドまででています。左型の大きい箱のほうがやはりローエンドはさらに伸びています。しかし、少し締まりがなく中域まで膨らんでいる印象もあります。箱のサイズが大きくなるとコスト増に なりますし、家に置けないということで売れゆきにも影響してきますが、、フルレンジ1発からでるこのローエンドは是非皆さまにも体験していただきたいという思いがあります。

　現状大型のサイズの箱のほうが低域は良いのですが、デザイン的に微妙な感じがするのと丸型テーパーはコストが高いので長岡スピーカーでおなじみの四角の矩型ダクトにしようと思います。どちらの箱もサイズは大きいので、もう少し小型化したいところなのですが、まずは容積をほぼ同じにして箱のデザインを変えた箱を作ることにしました。

■容積をほぼそのままにデザイン変更して試作（3作目）
ということで、1つ目の小さい箱を壊してバフルと背板だけを再利用して作った箱が写真右側のスピーカーです。

　高さが100mm短いのですが、奥行きを70mmほど多くして容積をほぼ同じにしました。容積をほぼ同じにしても内部の音道の長さは変わりますから、音は変わってしまうのがバックロードの面白いところでもあり難しいところでもあります。普通のバスレフでしたら縦横高さの比率を変えたところで容積が同じなら音はさほどかわりませんが、バックロードは変わります。

　一聴した時はガッツリとローエンドが落ちてしまい、「だめか？」と思いましたが、L字の高さ調整式ダクトを変更したら問題はなくむしろ締まりと低域の塊感がでて良い方向であることがわかりました。音の好みで分かれるところかもしれませんが、3作目のスピーカーがS-BHBSに近く癖がない良質な音に聞こえました。ローエンドをとるか、癖の少なさをとるか意見が分かれるところかもしれませんが、現在の私の好みは3作目になります。デザイン的なバランスはこちらのほうが良い印象がありましたので、次は大きい箱の容積を小型化して同じ音をキープできるかの実験します。

■容積を15％ダウンした　4作目
　続いて4作目です。これは3作目の方向性が良かったので思い切って容積を縮小しました。1作目の大サイズを壊して、使える部材を使って4作目を作りました。

フロントのデザインと、奥行きのバランス感は一番良いですね。これで3作目に迫る音がでれば文句ありません。 でてきた音の印象は？？？。

いいですね！

ローエンドのレベルはほとんど変わらず低域の鳴りっぷりと締り感が絶妙になりました。もう少しダンピングをよくしたい気持ちもありますが、低域の出方についてはこの容積で調整してゆけば良いものができそうです。

■容積、ダクト、音道長さが9割
　BHBS箱のパラメーターを考えると容積、ダクト、音道の長さの3つで音の骨格はほぼ決まってしまいます。
箱は大きすぎても小さすぎてもだめで、一定の範囲の中にあるストライクゾーンにハマると鳴りの良い低域がでてきます。素性の良いフルレンジユニットを選んで3つのパラメーターを追いこんでゆくことでバランスの良いフルレンジシステムができます。

　ここから先は残りの10％ぐらいの細かい音道の微調整と追加マグネットによるダンピング調整を行いスピーカーに魂を入れてゆきます。最後はブラインドテストを行い、一般の皆様の評価と私の方向とのズレを補正します。

■追加マグネットの実験
　FF125WKはオーバーダンピング仕様ではないのですが、弊社で設計しているBHBSでは問題なく鳴らすことができます。むしろ昔のFOSTEXのオーバーダンピングのほうがBHBSとの相性という意味では難しかったりします。 販売を終了したZ702-BergamoやZ702-Modenaなども完全なオーバーダンピングではなく気持ちだけQ値を下げた仕様がマッチしました。

　そこで、今回のFF125WKもマグネットを背面に追加し気持ちオーバーダンプ化することで音質改善ができないか実験しました。弊社には追加でマグネットをつけて音質調整をするノウハウは結構前からやっていたので追加マグネットが倉庫にいくつかのサイズの在庫があります。

このマグネットをスピーカーの背面に装着します。このフェライトマグネットはつける方向が2パターンあって、簡単にぴたっとくっつく方向と、一旦軽く反発してからくっつく方向があり効果が異なります。（青の矢印の面をつけるか、赤の矢印の面をつけるか）

　前者はQ値を上げる方向に作用し、後者はQ値を下げる方向に作用します。今回のスピーカーではQ値を下げたいので後者の方向で使います。スピーカーの背面にマグネットをつけて磁力を調整する方法はマークオーディオ さんでも採用していますし、FOSTEXのエンジニアさんも開発途中で使う方法だということを以前教えてもらったことがあります。

　この方法はスピーカーユニットのパラメーターが変わるので、音は当然変わりますがユニットの背面にマグネットをつける形ですので設計上本来ついているマグネットに与える影響は極端に大きく変えることはできません。ですので、気持ちだけQ値を変えたいという場合にはもってこいの方法になります。今回会社にあったマグネットに追加して 全部で16パターンのマグネットを DATSV3でテストしました。

　マグネットは厚みが8mmくらいのものから15mmくらいのもの、そして外寸も違います。外寸が違うものは2枚重ねにすることでより磁力がましてQts数値が下がります。 実際の試聴では最大のものから、最小のものまでテストしました。測定したデータの一覧は↓になります。

　12パターンのマグネットのQtsの数値をおおむね大きいほうから順番に並べています。Qtsの数値は何もつけない状態が0.48で、最も大きいマグネットを4つつけると0.38まで下がります。マグネットを4つ追加するとQtsの数値だけ はFE108Solに近い数値がでていますね。4つつけると背面の箱に干渉してしまいますし、音が大きく変わってしまうのが予想 されます。

試したものを実際にスピーカーに入れて順番にテストしてゆきました。

　好みはあると思いますが、追加マグネットをつけることで、音は一変します。やりすぎると、高域あがりがきつくなりますが、音全体の制動感が特に低域は強く締まりがよくなります。ゆったりした鳴りが一変してスピード感とキレの良さが加わりました。

　大きなマグネットを2枚以上つけるとさすがにやりすぎで、小さいものを１つつけるくらいが最も試聴では良い印象がありました。音像が前にでてきてFE108Solのようなオーバーダンピング系のスピード感のある音になります。スワンやD10とは全く違う音ですが、低域のスピード感は似ていて、求める音に近づいてきました。弊社のZ-ModenaやZ-Bergamoも結構振動板に重みがあるものを軽くマグネット強化で少しだけオーバーダンピングにしているのですが、まさにそんな感じの音になりました。Z703-FF125WKSol？（笑）とまでは言えませんが、そんな感じです。

　高域はFFベースですから気持ちはいあがりになりますが、極端にうるさくなることはありません。 スワンなどに比べると圧倒的に聞きやすく、まさに狙い通りといった感じです。当初こちらは使いこなしテクニックで購入者様自身にマグネットを別途ご購入してもらおうかと思っていましたが、 ここまで印象が良いとオプションで選択できるようにしてみようかと思います。

■音道とダクトの微調整
　前に書きましたが、私の感触ではBHBSは箱の容積、音道長さ、最終ダクトの定数の3つで音は90％ぐらい決まってきます。ここから先の細かい調整はもしかすると分からない人にはさっぱり違いが分からないものかもしれません。 しかし、この部分の細かい音道調整ノウハウこそが音工房BHBSの音の価値の大事な部分な気もします。単なる自己満かもしれませんが（笑）

◯空気室の奥行き調整

　空気室の容積は3段階くらいに分けて耳で聞いて良いところを選びます。S-BHBSの場合は空気室の容積は中域の谷の位置に影響しますが、L-BHBSの場合は空気室の容積は必ずしも中域の谷の位置とリンクしません。 長岡先生の設計では空気室は奥行き寸法は短いものが多いのですが、弊社設計では 奥行きだけはその2倍くらいとります。ここが短いと高域の反射が振動板を突き抜けてでるため、吸音材をいれても高域が濁ってしまう場合があるからです。

◯空気室への吸音材調整

　空気室内部にいれる吸音材の量と位置を調整します。この部分へ吸音材の効果は前述しましたがユニット背面からでる高域の反射音を低減して、濁りのない高域をだすためになります。特に昔のFE系の振動板が薄くて軽いユニットの場合、影響が大きいです。

　今回のFF125WKでは差は僅かなものでしたが、ミクロンウールを背面の4面にいれることで、僅かながら高域が良い繊細にでる印象がありましたので付属することにしました。 基本BHBSボックス内部にいれる吸音材はこの空気室にいれることが多かったです。過去にも音道途中とかに吸音材をいれる テストをしましたが低域の勢いがなくなるパターンが大半でした。しかし、今回は音道長さがそこそこあるL-BHBSで、しかも直管を重ねる癖がでやすい形式のため、ホーン出口の2部分フェルト吸音材をいれるこをを標準としたいと思います。

◯音道の広がり率の調整
　音道の短いBHBSは２つの空気室とそれを 結ぶダクトだけというシンプルな構成なのでわかりやすいのですが、音道が長いL-BHBSパターンのスピーカーは鬼門です。広がり率というのはホーンがどのように 広がってゆくかを決めるものです。一般的なバックロードホーンはエクスポネンシャルカーブというフロントホーンの考え方をバックロードにも使います。

　 弊社のものも基本はエクスポネンシャルからスタートしいろいろ計算式みたいなものを書いたりもしましたが、現在は視覚で良さそうなものを作ってから耳で広がり率を変えて音を変えてしっくりくるものにします。長いBHBSは迷路・共鳴管・ダブルバスレフの複合なので計算はできないものと諦めています。 元祖石田式BHBSは特徴として、ホーンの最終の音道（部屋）で一気に空間が広がるパターンが多いです。私もこの最終音道の広さを意識して調整
をしています。今回は全体容積の45％ぐらいを最終音道の容積部分にあてました。

◯ダクトのテーパー化

　最終ダクト定数はローエンドとミッドバスの比率を決める最重要項目です。現時点でダクトが15センチと少し長めなのでテーパー化することでダクトの癖が少なくなる可能性があります。写真のように長さ可変式のダクトにテーパーをつけました。数パターンほど試しまして気持ちだけテーパーをつけることにしました。低域は気持ちもちあがり、より滑らかなものになりました！ 今回はキット商品ということもあり、 以前おこなっていたBHBSのダクト調整の板を2枚付属することで低域調整を3段階 える仕様にしようかと思います。

　私の中ではやれることはだいたいやりつくしました。 ダクトの長さやマグネット定数の微調整を社内ブラインド、ユーザー試聴会でお聞きして最後の仕様を確定させたいと思います。

　ほぼ仕様が確定した段階で、 試作版のZ703-FF125WKとB&W805D3のブラインドテストを2025年の3/15の土曜日に実施いたしました。805D3とは音の傾向が全く違いますので、このスピーカーに関しては目標とか音を近づけるという意図ではないのですが、ハイエンドスピーカーを自作で超えるというのが弊社の目標ですので、100万超えのこちらを選んでみました。ブラインドテストといっても、そんなにガチガチのものではありません。↓のように２つのスピーカーを左右に並べます。

　選定した日頃聞いている有名な20曲（試聴会では10曲）をどちらが鳴っているか分からない状態で聞いてもらいます。

　例えば、最初の1曲目を805D3から鳴らします。続いて同じ曲をZ703-FF125WKを鳴らします。どちらのスピーカーが先になるかは曲によってランダムに変えていますので、 被験者は耳だけを頼りに「好き」だと思ったスピーカーにチェックを入れてもらいます。2つのスピーカーは可能な限り音量を近くに合わせてからテストしました。

■社内ブラインドテスト（参加者3名）
社内ブラインドの結果は↓の通りでした。

https://otokoubouz.com/melmaga/2025/2/z703ff125wk-syanai.pdf

安達→Z703-FF125WKに8票、B&Wに12票
岩井→Z703-FF125WKに9票、B&Wに11票
青木→Z703-FF125WKに9票、B&Wに11票

トータルではZ703-FF125WKが43％　、 B&Wの805D3が57％の得票でした。
トータルではB&Wが上回っていますが、 数値的にはかなり良いラインを行っているという印象でした。音源ごとの得票数を分析してみますと、 ボーカル系が負けていて、低域のローエンドまで入っている音源は上回っている印象でした。これをやるとスピーカーの強みが明らかになるのも面白いところですね。

■試聴会ブラインドテスト（参加者　お客様12名）
続きまして、午後は3部の試聴会の冒頭10分間を来ていただいたお客様にブラインドテストに参加してもらいました。

試聴会ブラインドテスト風景↓

試聴会にご参加いただいたブラインドテストの回答は↓の通りでした。
https://otokoubouz.com/melmaga/2025/2/z703ff125wk-sichokai.pdf

トータル結果を申しますと、、

Z703-FF125WKに58票、B&Wの805D3に62票ということで、
Z703-FF125WKが48.3％、 B&Wの805D3が51.7％でした。

10曲選んだ音源は低域中心にしたからだと思いますが、 社内ブラインドテストのときよりか改善しましたが、805D3超えには至りませんでした。特定音源では勝っていますが、ここまで僅差だと勝ちたくなるのが人情です（笑）。この結果はまだ、試作でボンドも入れていない段階の結果ですし、オーバーダンプマグネットは取り付けていないのでまだ改善できるのでは、という感じです。

■音源ごとの分析

上は曲ごとの分析です。クリックするとPDFが見れます。見ていただくとわかりますが、40Hz以下の低域が入っている音源は703-FF125WKに得票が多くはいっております。逆に8曲目、10曲目のクラシック系は低いです。さすがクラシックというイメージの805D3は、クラシック系の高域部分は強いです。

試聴会が終了して、青木と作戦会議をしていたところとんでもない設計ミスを指摘されました。

　青木からとんでもない設計の問題を指摘されたと書きました。何かと申しますと、BHBSのテーパー付き
最終ダクトの向きを逆につけておりました。

誤ってつけたダクト

本来こちらの向き

　つまりBHBSの最終ダクトを逆ホーンに取り付けてしまっていたのです！！
ホーンといっても、この部分はBHBSダクトの癖を取る効果を得たいからつけているものです。ホーン効果で低域が大きくもち上がるものではないので逆にしたところでどうなるかは正直不明です。しかし、逆ホーンで低域減衰とかなると最悪ですので最終設計では当然通常通りのホーンに戻します。

　社内ブラインドテストと、試聴会ブラインドテストを経ましてスピーカーの強みと弱点がわかってきました。 強みは低域です。特にローエンドです。超低域から低域まで詰まった感じがなくふわっと広がる感じの伸びた低域は、まさにこのスピーカーでないと出せない低域です。

　マルチウエイと比較した時、やはり高域は弱点になります。ブラインドテスト前も散々スーパーツィーターのコンデンサーと設置位置は調整して望みました。かなり良くなったと思いましたが、高域が気になる音源を使うとさすがにマルチウエイは強いです。フルレンジの高域改善はできることは、 ほとんどなく、スーパーツィーターの調整くらいです。

　低域音源だけはすでに、Z703-FF125WKの得票が上回っていましたので最終仕様ではその強みを伸ばしつつ可能な限り弱点を克服する設計を盛り込んで組み上げます。

■ダクトの位置を変えた試作
外寸や内部音道はほぼ決まりましたが、 デザイン的に一点だけ試してみたいことがありました。それは↓です。

↑の右側の四角のダクト位置は定番的なデザインでこれまで多く採用してきました。
今回最下部より100mmくらい上部にダクトをつけましたのには理由があります。12センチ口径で低域は十分に確保されており、床の不要な反射音を防いでクリヤな低域を確保するためです。しかし、デザイン的に考えるとダクトを 最下部にもってきたほうが良いのでは？という気がしてきてしまったのです。

　ということで、1ペアのうちの１つのダクトを改造して最下部にダクトをつけたものとこれまでの底面から100mmぐらい嵩上げされたものを比較試聴してみました。比較はスタンドにおいた場合と、床にベタ置きした場合での比較しました。結果は特に床にベタ置きした場合は圧倒的に嵩上げしたほうが、低域のクリヤーさが上。スタンドに乗せても嵩上げしたものが低域の印象が上でした。ということで、ダクトを下部にもってくる案は却下となり現状の嵩上げダクトでゆくことにしました。

■サブバフルの製作

本番製作前に一点だけオプション販売しようと思っているサブバフルを作りました。

12センチ口径のフルレンジで、しかもローエンドが伸びるL-BHBSで設計しますと低域の共振が結構箱に伝わってきます。この箱の共振はBHBSでは味にもなりますが、あまりに酷いと音を濁す原因にもなります。振動が激しいバフルの厚みが倍になることで、ユニットから箱、逆に箱からユニットへの振動の影響を少なくできるはずです。またユニットから背面に回り込む高域も、ユニットが少し前に突き出る点音源化の効果が若干期待ができます。

■そして本番製作へ
　設計はこれまでの試行錯誤をすべて反映させた試作4（ブラインドテストで利用したもの）をベースに行いました。今回のキットはコスパ重視のキットと考えていたので、MDFだけのキットと当初は思っていました。しかし、あまりのできの良さでしたのでホワイトバーチ版も作りました。Zのユーザー様は多少高くてもホワイトバーチで作りたいという方が多いのも理由です。普通のバスレフや、S-BHBSより内部音道が複雑でMDFより比重の重いホワイトバーチとの音質差が多くでるのではと考えました。（重量差は片ｃｈで約600ｇでした）ここは是非お客様にも聞いていただこうと思うポイントです。

　ホワイトバーチ版にサブバフルをつけ、 追加マグネットを１つだけつけ、 ダクトの向きを修正したところ、接着前のMDF試作版から比較すると低域の力強さに増して高域がよりクリヤに感じられるようになりました。当初考えていたレギュレーションから言いますと、音道の長さは測り方によって 数値が変わりますが1.8～2ｍぐらいの 数値になるのでL-BHBSとさせていただきました。最近の弊社設計の中では音道は長いほうですが、2.5ｍくらいが普通の長岡先生のものに比べるとまあ短いです。スワンやD10とは違う音ではありますが、鳴りっぷりの良さは残しローエンドを伸ばして、中域の癖を抑えるという意味ではリファインに成功したと言って良いかと思います。

　箱としては、 低域の伸びと鳴りの良さを追求しながらも癖はできる限り抑える設計としました。久々にマニアックな超低域まで伸ばすボックスです。サイン波を入れて聞くと30Hzくらいまでは空振りせずにしっかりでてくれています。中域平均と同じレベルででているわけではありませんが、比較で聞いていた口径の大きい805D3よりかローエンドは伸びています。

　6月1日までの2ヶ月間の限定販売とさせていただきますので、是非この機会にご購入ください。試聴会のスケジュールはこちらになります。本文で行いましたブラインドテストを再度実施予定です。

　20年前に聞いた長岡鉄男先生のD101Sスーパースワン・D10バッキーの鳴りっぷりの良さを、音工房ZのBHBSの技術でリファインを目指しました。複数の試作機種から徹底した作り込みを行い、ブラインドテストを経てハイエンドスピーカーと互角の鳴りを実現いたしました。特に超低域を含んだ音源は互角以上の結果をだしています。

　エンクロージャーには標準でMDF15mmを採用。高精度カットなので初心者キレイに組み立てることができます。ホワイトバーチ15mm版もご選択いただくことが可能です。

　BHBSのダクト開口部分はテーパー付きとなっておりL-BHBSででやすい癖を低減しています。また、開口部分には調整用のベニヤを2枚セットしています。基本は1枚のベニヤを入れていただきますが、ベニヤを外すと長岡式に近い中域量感が得られます。2枚セットするとさらに超低域が伸びる特性となります。

　背面につけることでQtsを下げオーバーダンピング特性にするチューニングが可能な追加マグネットとサブバフルをセットでのオプション設定いたしました。大きくはい上がりにはならずに、低域のダンピングメリハリがでます。

MDFをご選択されたお客様はMDFのサブバフルとスーパーツィーターが、ホワイトバーチをご選択されたお役様はホワイトバーチのサブバフルとホワイトバーチのスーパーツィーターをご選択いただけます。

　空気室にいれるミクロンウールと音道最終部分にいれるフェルトの2種類を採用し、音道長くなることででる中域の癖に対応しています。

代表の大山へ直接メールによる相談をすることができます。
スピーカーの製作、塗装、音出し、セッティング等で迷われたことがありましたらメールでご質問ください。
2営業日以内のご返信を心がけています。
（購入時メールサポート”希望する”をチェックしてください）

音工房Zの商品を購入したいただいたお客様だけが受け取ることができる”サポートメルマガ”を定期的に受け取ることができます。 サポートメルマガでは新商品の割引案内や、通常メルマガには書けないコンテンツを配信予定です。 （購入時メールサポート"希望する"をチェックしてください）Zユーザー様は過去配信のサポートメールの重要な部分をまとめた「購入者様専用サポートページ」にアクセスできます。

現在頂戴したレビューは2025年3月15日に行いました、Z703-FF125WK試作版での試聴会のレビューです。下記レビューではZ703-FF125WKの部分のみを弊社で選んで記載させていただいている場合がございます。タイトルは文中のものをこちらで選択させていただいている場合がございます。全文はこちらよりご覧ください。

“ 最初に結果を云うと１０曲中なんと８曲 Z703-FF125WK を選んでいました”

“ Z703-FF125WKの完成が待ち遠しい”

“ スゴイの一言！！！”

“ 両者の優劣は付けにくいと思いました。”

“ それにしてもZ703-FF125WKはすごいコスパではないでしょうか！？”

↓より先は2025年3月15日に行いました、Z703-FF125WK本制作版での試聴会のレビューです。全文はこちらよりご覧ください。

4月13日の13時からの試聴会に参加いたしました。

Z703-FF125 Vs B&W-805 D3の比較でしたので非常に興味深い試聴会でした。ブラインドテストの私の結果は6対４でB&Wの勝利でした。あくまで私の私見です。音工房Zのファンから、あなたの耳と脳みそはブランド志向だとかBHBSの良さを理解していないとか批判を受けそうです。しかし6対４の結果はむしろ当然かと思います。相手は100万円越えのハイエンドSPで中古でも６０万円以上の高値で取引されるSPです。正直ブラインドテストでも、どちらも甲乙つけがたい曲もありました。ホテルカリフォルニアは出だしのギターソロはB&Wが繊細で綺麗に聞こえ、続いて鳴る低音パーカッションはZ-703の方が張り出し感があり良いと感じました。　各自の持ち寄ったCDの曲の印象ですが、まずは私の曲ですが２００１年宇宙の旅で有名なツｱストラはかく語りきの序章は冒頭の30hz台の超低音はどちらもはっきり聞こえて遜色なく出ていました。後に続くファンファーレの金管楽器はZ-703の押出感は迫力があり良かった。ただし全体を通じてB&Wの繊細で綺麗な表現力は流石でした。ちなみに私の所有するZ-601、Modenaでは冒頭の超低音は全く聞こえず20秒後にいきなりファンファーレが鳴ります。　後は他の方が持参した、せせらぎの音は印象的でしたZ-703はあたかも目の前に、せせらぎの音が聞こえるようでリアルでした。B&Wはせせらぎの音は少し遠くで鳴っているように感じましたが、小鳥のさえずりがはっきりと綺麗に聞こえ奥行き感を上手く表現していました。　

私が思うにZ703-FF125WK-BHBSは12㎝の小口径でも超低音を見事に鳴らしていて脅威的です。但し中高音の表現はやや粗く繊細な楽曲には向かない気がします。　そこで勝手な意見ですが小口径のL-BHBSで小型のサブウーファーを作ってみてはどうでしょうか？みんなが驚くと思います。

新しいバックロードホーンスピーカーの視聴テストがあるというので参加しました。視聴用に持参したのは、毎度同じロンカーターのCD。ウッドベースの響きをテストできるので、音工房Zの視聴会はじめ、その他の視聴会には昔から使用しています。今回視聴して驚いたのは、明らかな能率の高さ。音の大きさはアンプで決まりますが、能率の高いスピーカー（５０年前は皆このようなスピーカーでした）の音の出方は、ウッドベースの響きで分かります。JBLがジャズ向きと言われるゆえんかもしれませんが、今回視聴したスピーカーの音色は、ＪＢＬを凌いでました。ライブハウスのかぶりつきで聞くベースの音です。これは、能率の高いスピーカーでなければ味わえません。ただ、残念だったのは平原綾香の声が他のスピーカー同様にうまく再生できていなかった。ただ、Ｂ＆Ｗのスピーカーより生声に近かったようなーー。

4月13日の16時のコマに参加させて頂きました。
D10を意識した製品という事で鳴りっぷりの良さを兎に角体験したいというのと、バーチ版を購入する前提でチエックをする事に専念致しました。
最初にブラインドテストを致しましたが、当方は6割Z703を選んだ形になりました。 特にクラシック系は聴いた事のあるものは(当時聴いた時の音が頭にしっかりありますので)それに近い方を選んでしまいましたので‥7割と言い直しても良いと思います。
バーチ版とMDF版との比較ではバーチ版の方がその録音時の空気感が出ている様に感じました。 MDF版は硬い感じというか無音に近い感じでは空気感が感じられないと言うか本当に雑味が聴こえてこない感じでした。 ジャズのコンボ演奏などならMDF版が良いと感ずる場合が多そうに感じました。 当方は主にビックバンドを聴くのでバーチ版の方が良いと感じましたがもうちょっとミッドが欲しい感じがしました。
途中で安達さんがMDF版の柵を1つ外して下さったので聴き直ししましたらバーチ版の方に表現が寄ってきましたので中低音域が増えたことがはっきりと理解出来ました。 ということは、バーチ版も柵を外すともっと自分の期待する音になるのではとの期待が出てきました。 当初はバーチ版のユニットの方がエイジング時間が多いのではと仮説を立ててみましたが、帰宅後に両方とも50時間以上のエイジングをしているように開発記録に書かれておりましたので別の理由があるのではないかと…。
D-10形態の場合は材料の比重の他に素材の表面のざらつきとかが大きく影響するのではとも思いました。 ここまでバーチとMDFでの差を感じたのははじめてでございます。 かつてBergamo試聴会時にバリトンサックスがきこえなくなったのですがこの商品は柵1枚でやや弱くても聴こえますので外してローエンドを下げないで聴き直しをしてみたいところです。 試聴会ではかなり低い周波数の入った音源があったので柵1枚のセツティングにしていたようですね。 勿論そこがこの製品の最大の魅力ですから…。 他にもキャンセルマグネットによる調整も出来るとの事で、これはバーチ版にサブバフルとキャンセルマグネットのオプションでとことん楽しんでみようかと強く感じました。 購入のポチッとは時間の問題ですね〜。 今回のZ703-FF125WK完成おめでとうございます。

4月も半ばにもかかわらず冷たい雨の中、Z703-FF125WKの試聴会に参加させていただきました。

待合室となっている工作室にはブログに載っていたダクトの位置違いの試作箱が置かれていて、近くで見るとその大きさに気圧されます。Z-Bergamoより横幅は少し薄いものの高さと奥行きは一回り大きく、Z-Sienaを4つ分並べたくらいのサイズ感です。Z-Sienaもコンパクトなサイズの割には低音までよく出ていましたが、超低域をきちんと再生しようとするとやはりこのくらいの容積が必要なのだと思います。

試聴会の最初にB&W805D3とのブラインドテストがあり、「好きと思ったほう」を選んだ結果、10曲中6曲でZ703-FF125WKに入れていました。後で持ち込んだCDで聴き比べてみるとZ703-FF125WKとB&W805D3の音の傾向が全然違っていてたので、得意分野で分かれたのだと思います。極論すると、“バランスのB&W”と“迫力のZ703-FF125WK”という感じでしょうか。繊細な表現やまとまりはB＆Wに敵わないものの、Z703-FF125WKの鮮烈なキレの良さと重低音が印象に残りました。一緒の組の方が「テレビ横に置いたらサブウーファー要らずでハリウッド映画が楽しめる」と仰っていて、このスピーカーの性格を良く表していると思いました。大きさも音質も前作のZ-Sienaからガラリと変えてきたな、というのが正直な感想です。

Z703-FF125WKはMDF版とホワイトバーチ版が用意されていて、今回B＆W805D3を含めた3台での聞き比べでした。元々コスパ重視でMDF版のみのつもりで開発していたが、（私も含めて）Zユーザーのホワイトバーチ信仰が強い（数が出る）ので結局用意したようなことを大山さんも仰っておられましたね。Z-Sienaでは確かにホワイトバーチのほうが良いと感じたのですが、Z703-FF125WKで聞き比べるとMDF版のほうが音がよく纏まっていたと思います。時間をかけて鳴らし込めばいい感じに落ち着くのかもしれませんが、現時点ではホワイトバーチ版は中音域が強く聴き疲れしそうです。材質が堅い分エンクロージャ内での減衰が少ない、もしくは増幅されているのかもしれません。

個人的に購入のネックになるのはサイズの問題です。Z-Bergamoに加えてZ703-FF125WKというのは部屋のサイズ的にかなりきついので悩みます。

4月13日にZ703-FF125WK VS B&W805 D3のブラインドテストに参加させてもらいました。10曲の音源で2種類のスピーカー聴き比べで私が好みと投票したのはZ703が6票、B&W805が4票でした。これが7対3や8対2であれば明らかにZ703の方が好みと言えるのですが正直この結果ではどちらかと言えばZ703の方が好きというレベルでした。

その後各自が持ち寄ったCDで聴き比べをさせてもらい、私はキャンディーズの『年下の男の子』で比較させてもらいました。ランちゃんのメインボーカルを聴いた時はZ703はとても素直に聴こえB&W805はチョット曇った声に聴こえました。

この差は歴然でおそらく誰が聴いても同じ印象を持つと思います。その他の楽曲では2種類のスピーカーの差は明確にはなりませんでしたがランちゃんの声の時はなぜこんなにハッキリ差が出るのでしょうか？　なんとも不思議な体験をしました。

ランちゃんの声が綺麗に可愛く聴けるスピーカーが良いスピーカーという私の判断基準なのでZ703の勝利を宣言したいです。

4月13日に行われたZ703-FF125WKの試聴会に参加する機会を頂きました。先ず比較対象としてB&W805D3を用いたブラインドテストです。どちらのスピーカーが鳴っているかわからない状態で曲を聴きますが、再生するスピーカーの順番は毎回かわります。

各曲ごとにどちらの音が好みだったかチェックする方式です。結果は10曲中8曲でZ703-FF125WKを選択していました。私の好みはZ703-FF125WKのようです。コスパの良い耳ですね。

B&Wを選んでいたのは、Tears in HeavenとToccata and Fugueでした。この2曲は奥行き感、音の広がりが良かったように感じ選んだと思います。全体的には、音量違ってないか？というくらいの差を感じたのですが、音量は合わせてあるでしょうから、この差がどこから来るものか私には分かりませんでした。

後半の自由視聴での感想

B&Wはふくよかでありながらスピード感や煌びやかさを持つスピーカーと感じました。対してZ703-FF125WKは小口径フルレンジでありながら、押し出しが強くエネルギッシュなスピーカーでローエンドの伸びは驚異的でした。ホワイトバーチとMDFの違いについては、時間的にあまり比較は出来ませんでした。

開口部の調整やマグネット追加など遊べる要素もあり、長く楽しめそうなスピーカーですね。お値段以上であることは間違いありません。

Z703-FF125WK 試聴会２回目に伺いました。当日は生憎の雨模様、５年間で初めての雨？かもしれません。越谷の家を出たときには霧雨程度だったのですが、途中から本降りになりずぶ濡れで到着しました。

最初に前回同様、Z703-FF125WK VS B&W805D3 のブラインドテストです。交互にどちらが鳴っているか分からない状態で聴き、好きな方にチェックを入れるという簡単？なものです。前回Z703-FF125WK を８曲選んだので今回もいい線行くかなと気楽に臨んだのですが、１曲目のホテルカリフォルニアから迷う始末（結果はハズレでした）でグダグダになりかけたのですが、途中から何とか持ち直して５勝５敗の五分に持ち込みました。（２択ですので50％なら分かっていないという声は正しいです）

どちらか分からない曲が半数以上で、前回は２曲でしたので焦りました。本人の体調が今一で集中力が散漫になっていたことと、前回の結果で差はハッキリ分かるはずと高を括っていたのが原因の半分ですが、もう半分が Z703-FF125WK と B&W805D3 の（音の）差が詰まったのではないかと考えています。

メルマガの試聴会案内にも「前回の試聴会ではビスで仮組状態の試作版でのブラインドテストでしたが、今回はボンドを入れて接着した本製作のホワイトバーチ版で行います。もちろん内部やダクト調整等も済ませた最終調整後のものになります。MDF とバーチ版の比較試聴もできます。」とのことで Z703-FF125WK の音が B&W805D3 に近づいたのではないかと思います。

B&W805D3 は同じ個体ですので音が変わるはずは有りません。そうすると Z703-FF125WK が B&W805D3 の音に近づいたと考えるしかないという結論になります。前回試作のZ703-FF125WK はビス仮組の試作品で粗削りのところが有りましたが、B&W805D3 とは全く違う音でした。今回、ボンドを入れて接着した本製作のホワイトバーチ版で内部やダクト調整等も済ませたことで、粗さが取れ帯域の広いフラットな特性に仕上がったと感じますが、反面以前の音工房Ｚらしさが薄れたようにも感じられました。オプションのオーバーダンピングマグネット（１個）+サブバフルの影響もあったかもしれせん。

個人試聴の時間にこの点を検証してみました。まず Z703-FF125WK MDFとバーチ版の比較ですが、内部構造板構成などは同じですので純粋に板材の違いのみです。基本的な音は同じで低域高域とも十分に出ています。今回もスーパーツイーターがセットされていますので高域は明らかに B&W805D3 より伸びています。ただ、前回スーパーツイーター無しでも不満はなかったので、どちらかというと FF125WK の高域の癖（キツさ）を和らげる効果が大きいかもしれません。MDFはバックロードホーンの音により近い元気な鳴り方で音が前に迫って来る感じで広がり感があります。対してバーチは箱の共振が抑えられた分引き締まったコントロールされた感じですが、音場が狭くなったようにも感じられます。MDF と B&W805D3 の中間ぐらいといった感じでしょうか。

今まで聴いたMDF と バーチ の場合（音工房Ｚ以外も含めて）ほぼほぼバーチの方がいい音に感じますが今回音質の差はほとんど感じませんでした。今回のMDFが高品質なので悪い面が目立たないのかな、などと謎は深まるばかりです？

ひとつ気になったのは中低域の物足りなさです。Z702-Modena の印象が強かったせいかもっとグイグイと中低域が鳴る方が音工房Ｚらしい音のイメージがあります。今回のコンセプトは「基本は長岡先生のスワンやD10バッキーのような鳴りっぷりの良い低域。それにスーパーツィーターをあわせてハイエンド並の高域を目指します。中域のパイプ共鳴音や膨らみを抑えながらローエンドを伸ばすBHBS方式にします。スワンスピーカやD10バッキーの現代版をローコストで実現するというイメージです。高域はトゲがなく綺麗な高域ですが、普通のマルチウエイに比べたら少しだけハイあがりという形が理想です。」とのことですのでその点では十分目的は達成されていると思います。

しかし、私の嗜好が変わってきたのか粗は有ってもそのモデルでしか聴けない音のするスピーカーに魅力を感じるようになりました。私は原音忠実再生指向ではありませんので、自分が聴いて自然で気持ちいい音ならウエルカムです。実際の生の音より低音が多かろうが、高域が綺麗過ぎようが気に入ればOKです。中域のパイプ共鳴音や膨らみのサジ加減は個人差もあり難しい部分ですが、最終ダクトの調整（付属の板2枚その他）、吸音材、オプションのオーバーダンピングマグネット+サブバフルなどキットですのでイジル余地は満載ですので安心です。

ではMDF と バーチのどちらがお勧めでしょうか？

私の音の好みは、

Z703-FF125WK 試作＞Z703-FF125WK MDF＞Z703-FF125WK バーチ＞B&W805D3

の順です。

（以下略。レビューサイトに全文掲載させていただいております。）

振動の影響を少なくしたいスピーカーユニット部分のバフルの厚みを倍に強化し、超高域の背面の反射影響を少なくできる15mm厚のサブバフルとオーバーダンプマグネット4つがセットになっています。MDF版にはMDFサブバフルを、ホワイトバーチ版はホワイトバーチサブバフルをご選択いただけます。オーバーダンプマグネットはFF125WKのQts値を少し下げることができます。マグネットは1つつけるとQtsが少し下がり、2つつけるとさらにQtsが下がります。お好みのダンピングを調整できます。

（なお、マグネットは仕入れ時点で端が欠けていることがあるため10mm角未満の薄い欠けはご容赦ください。）